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【現場レポ】下地補修工事(タイル補修)~MUSドッグキャップ工法~

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現場レポート

下地補修工事(タイル補修)~MUSドッグキャップ工法~


こんにちは😄
本日は現場レポートをお届けしてまいりたいと思います。

今回撮影に訪れたのは東京都墨田区にある、マンション大規模修繕の現場。
下地補修工事を行っているということでその様子を撮影して参りました。


下地補修工事ってどんなことをするの?

下地補修工事とは主に建物の外壁を補修する工事のこと。
「下地躯体補修工事」、「躯体補修工事」と言われたりもします。

コンクリートやモルタル面のひび割れ、塗膜の剥がれ、タイルの浮きなど外壁補修全般を指します。

今回はそんな下地補修の中でも「タイルの浮き補修」の様子をレポートさせていただきます。


タイルが浮いているってどんな状態?

新築時、タイルはこのように建物にしっかり貼り付けられています。


しかし、長い時間が経過すると、温度差による膨張収縮や、給水・乾燥による膨張収縮が繰り返され、次第にモルタルの付着力が低下し、タイルに浮きが生じてきます。

また、こうした経年劣化の他にも、地震などの激しい揺れによって建物にひずみが生じてタイルが浮いてしまったり、施工不良によって浮きの症状が発生してしまうこともあります。

タイル浮きにはどんな種類がある?

タイル浮きは主に「タイル陶片浮き」「下地モルタル浮き」の2種類に分けることができます。

タイル陶片浮き

タイル陶片浮きは、タイルがタイル貼り付けモルタルから浮いている状態
上のイメージ図ではタイル全体が張り付けモルタルから浮いてしまっていますが、実際にはタイルの一部分が剥がれて浮いてしまっていることが多いです。
陶片浮きの場合、貼り替え補修が一般的に用いられます。

下地モルタル浮き

下地モルタル浮きは下地モルタルがコンクリートから浮いている状態。
下地モルタル浮きの場合、目地から穴をあけ、下地モルタルとコンクリートの隙間部分に樹脂を注入しアンカーピンで固定する補修方法が一般的です。



MUSドッグキャップ工法とは

MUSドッグキャップ工法とは、下地モルタル浮きの発生しているタイルに直接穴をあけ(タイル脳天打ちをし)、エポキシ樹脂とアンカーピンでコンクリートへ直接タイルを固定し剥落を防止する工法です。

今回の現場は二丁掛タイルという、通常のタイルよりもサイズの大きいタイルを使用していたため一般的な樹脂注入では樹脂がタイルの中まで入りづらいことや、補修箇所が目立たないというメリットから「MUSドッグキャップ工法」を採用することになりました。

この「MUSドッグキャップ工法」では、タイルの穴あけ(脳天打ち)に「無振動ドリル」と呼ばれる特殊な工具を利用するのも特徴の一つなので、工具については後ほど詳しくご紹介をしたいと思います。

MUSドッグキャップ工法の流れ

①穴あけ

無振動ドリルを使って、タイルの中央部に穴をあけていきます。

穴をあける箇所にドリル先端ダストシールを合わせたら


ドリルを水平に押し込みます。


ちなみに、このドリルの先端にはノロ(穿孔時に出る粉塵)を回収するホースが付いているため、清掃作業が不要です。


ドリルを引くと、穴の周辺部に冷却ガスを使用したことによる跡が付いていました。
この跡は乾くと自然に消えてなくなります。


穴をあけたタイル。
ひびが入ったり、割れたりすることなく、キレイに穴があきました。


続けて、もう一か所に穴をあけていきます。


穴あけが全て完了しました。


エポキシ樹脂は水分と相性が悪いので、穴あけの後は乾燥の時間を設けます。
今回は冷却ガスを使用しているため乾燥作業は15分程。水循環式の場合は、丸一日乾燥が必要です。

②注入

エポキシ樹脂を注入していきます。

今回使用したのはコニシのエポキシ樹脂ボンドE209S。
よく混ぜてから注入ガンに充填します。

注入ガンには長めのノズルを装着。


長めのノズルを使い穴の奥から樹脂を注入することで、穴の中に残っている空気の残圧の影響を少なくすることができ、樹脂やアンカーピンが押し戻されにくくなるそうです。

ノズル先端にウェスパッキンを付け、ガンを穴の奥まで差し込み、エポキシ樹脂を注入していきます。
ウェスパッキンにはエポキシ樹脂が穴から出てくるのを抑える役割があります。


すこしずつ樹脂を注入し、充填していきます。


③ピンの挿入

エポキシ樹脂を穴に注入したら、アンカーピンを差し込んでいきます。

実際に使用したドッグキャップ付きアンカーピンがこちら。

アンカーピンにはタイルの色に合わせて焼き付け塗装を施したドッグキャップが付いています。
今回の現場では色の濃いもの・薄いものの2色を用意しました。

ピンを押し込んだ様子。

ハンマーを使ってアンカーピンをしっかり押し込み、固定させます。

もう一か所も押し込み、アンカーピンを固定させます。


アンカーピンがしっかり入りました。


④清掃

穴からはみ出たエポキシ樹脂をエポキシシンナーでふき取ります。

これにて施工完了です!


最後に、MUSドッグキャップ工法のメリットをまとめると、
 ①既存のタイルをそのまま使用でき補修跡が目立たない
 ②低振動ドリルを使用するので居住者様への影響が少ない
 ③タイルの貼り替えがないため、新しくタイルを焼く必要もなく、斫ったゴミも出ないため環境にも優しい
 といったことがあげられます。

仕上がり写真を見ての通り、既存の風合いを残したとても自然な仕上がりになりました😊

使用した工具の紹介

タイルの穴あけ(脳天打ち)には「スーパードリル」という工具を使用しました。


冷却ガスで刃先を冷やしながら穴をあける湿式のドリルで、一般的な補修で使用される「穿孔(せんこう)ドリル」と比べると低騒音・低振動なのが特徴で、タイルを破損せずに穴をあけることができます。

ちなみに、刃先を冷やす方法にも種類があり、冷却ガスボンベを使用するものや水冷循環式といって水を使い刃先を冷やすタイプも存在します。今回は冷却ガスボンベタイプを使用しています。

ドリル先端には「受けピース」「ダストシールスポンジ付」という部品を装着しています。

ドリルと合わせて使用する「ボンベホルダー」。冷却ガスボンベが2本入っています。

このボンベとドリルをつないで、ドリル先端から冷却材を出しながら穿孔する仕組みになっています。
2本の冷却ガスボンベで約50個の穴をあけることができます。


こちらはノロを吸い取るための掃除機。

以上、使用工具のご紹介でした。


いかがでしたでしょうか。

今回は下地補修工事のタイル浮き補修「MUSドッグキャップ工法」の様子を現場からお届けしました✍
少しでもこの内容が皆様の参考になったりお役に立てれば幸いです🙇‍♀️

タイル浮き補修は過去に、「エポキシ樹脂注入ピンニング工法」もレポートしておりますので、よければ合わせてご覧ください。

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