【現場レポ】防水工事~ 超速硬化ウレタン吹付システム 『リムスプレー』~
防水工事~ 超速硬化ウレタン吹付システム 『リムスプレー』~
こんにちは😄
今回は東京都大田区のオフィステナントビルで行われた防水工事の一種、
超速硬化ウレタン吹付システム『リムスプレー』の現場レポートをお届けしたいと思います✨
防水工事ってどんなことをするの?
※屋上防水のイメージ。今回取材をした現場とは異なります。
防水工事とは建物への雨水の侵入を防ぐために防水層を形成する工事のこと。
特に、屋上・バルコニー・ベランダ・外階段などは日常的に雨水にさらされてるため、建物を雨水の侵入から守るためにも防水工事は欠かせません。
新築時に施工された防水層も、十数年と雨風や紫外線にさらされるていくうちに徐々に劣化が進み、漏水といった不具合が起こるようになります。
そのため、定期的な防水層の改修工事を行うことで、再び建物を雨水の侵入から守ることができます。
防水工事にはどんな種類があるの?
防水工事は「ウレタン防水」、「アスファルト防水」、「シート防水」の主に3つの工法に分けることができます。
ウレタン防水
※ウレタン防水のイメージ
ウレタン樹脂を塗布して、防水層を形成する工法。
ウレタン防水の中にも、密着工法、通気緩衝工法、スプレー工法など多くの工法が存在します。
アスファルト防水
※アスファルト防水のイメージ
アスファルトを染み込ませたシートを貼り重ねて、防水層を形成する工法。
アスファルト防水の中で常温工法(冷工法)、トーチ工法、熱工法の3つに分類することができます。
シート防水
※シート防水のイメージ
シート状の材料を用いて、防水層を形成する工法。
こうした様々な種類が存在する防水工法の中で、
今回はウレタン防水の一種である「超速硬化ウレタン吹付けシステム」を用いることとなりました。
超速硬化ウレタン吹付けシステムとは?
「超速硬化ウレタン吹付けシステム」とは、超速硬化ウレタン防水材をスプレーガンで吹き付けてシームレスな防水層を形成するウレタン防水のこと。
超速硬化ウレタン吹付システムで使用するウレタン防水材は、主剤と硬化剤を混ぜると短時間で硬化するため、長い時間を置くことなく次の工程へ移ることができるため、効率よく広範囲で施工することが可能です。
また、一般的なウレタン防水に比べ強度が高く(ウレタンの強度はJIS規格で定められており、JIS A 6021というウレタンゴム系高強度形認定を取得)、歩行頻度の高い場所や駐車場のようにタイヤの摩擦があるような場所にも最適です。
「超速硬化ウレタン吹付システム」には、専用機材が用いられ、下のイメージ図のように、ヒーターとポンプの機能を備えた専用機材によって、適切な温度に保たれた材料がホースの先端へ圧送される仕組みとなっています。
今回の施工箇所は、広さ850㎡を超える屋上の駐車場。
施工範囲が広く作業効率が求められることや、車の重さやタイヤの摩擦にも耐える強度が求められることから、「超速硬化ウレタン吹付システム」の『リムスプレー』(AGCポリマー建材)を採用することになりました。
※『リムスプレー』というのは「超速硬化ウレタン吹付システム」の商品名の一種で各メーカーによって商品名称が異なります。
AGCポリマー建材は『リムスプレー』、ダイフレックスは『クイックスプレー』、田島ルーフィングでは『オルタックスプレー』という名称。
少し前置きが長くなってしまいましたが、それでは施工の様子を見ていきましょう!
超速硬化ウレタンシステム『リムスプレー』の施工の流れ
防水工事全体の流れは以下の流れとなりますが、今回は★の部分のウレタン1層・2層目とトップコート塗布の施工の様子を取材させていただきました。
〔防水工事全体の流れ〕
機械研磨 → 伸縮目地撤去 → ケレン・清掃 → 伸縮目地戻し → プライマー塗布 → 入隅シール → 脱気筒取り付け → 改修ドレン取り付け → ★ウレタン1層目(リムスプレー)→ ★ウレタン2層目(リムスプレー)→ ★トップコート
①材料の搬入・準備
トラックで材料を搬入します。
トラックの荷台いっぱいに積まれた超速硬化ウレタン防水材。
主剤と硬化剤は1缶で200kgもあります。
1缶ずつトラックの荷台から材料を降ろしていきます。
材料の荷下ろしが終わったら、次に、リムスプレー専用機材が搭載された車両を搬入し、材料のセッティングを行います。
主剤も硬化剤も元々は透明色。
硬化剤にグレーのトナーを入れ、色を付けきます。
常温の超速硬化ウレタン防水材は「水あめ」のように粘度が高く硬い状態。
そのままでは材料をスプレーで吹き付けることができないので、ヒーター(棒状のもの)を材料へ差し込み、60℃程まで温めて “ さらさら ” の液体状にします。
冬場は材料を温めるだけでも2時間以上かかります。
今回の現場のように、施工範囲が広い時は専用車両のヒーターと別に、もう一台のヒーターで材料を温め、連続して作業ができるように準備しておきます。
材料を温めている間、車両から圧送用ホースを取り出します。
車両からホースを出した状態。
ホースの全長は120m。
(ちなみに、120mあるといっても、建物の屋上で作業をするため、建物の階の高さ分、長さが必要になります。施工箇所の真下に車両を止められない時も多いそうで、離れた箇所からホースを伸ばしてくると120mあっても意外と余裕はないそうです。)
ホースの先端はスプレーガンが取り外しできるようになっており、このようなスプレーガンを取り付けます。
地上でホースを引張り。
2階でホースを引き上げて、施工箇所の4階屋上までホースを伸ばしていきます。
②養生シートの設置
材料を温めている間に養生シートを設置していきます。
超速硬化ウレタン吹付システムは、スプレーガンでウレタン防水材を吹き付ける工法のため、飛散防止のために施工箇所全体をドーム状に養生シートで覆っていく必要があります。(メーカーによってはテントを使用する場合もあります。)
施工範囲が広いので、まずは養生シートを取り付けるためのロープを張り巡らし、ロープにテープを貼り付けていきます。
張り巡らせたロープに養生シートを貼り付けていきます。
風でシートが動くのでシートを貼り付けるのにも一苦労。
6人がかりで施工範囲全体を養生シートで設置していきます。
③リムスプレー 1層目
養生シートを設置したら、いよいよ1層目のウレタンを吹き付けていきます。
一人がリムスプレーを塗布し、もう一人が後ろでホース位置を調整しながら、連携して作業を進めます。
一歩ずつ後ろに後退しながら、一定の幅で隙間なく吹き付けていきます。
左右にスプレーガンを動かしながら、1層目は少し厚めに吹付を行います。
架台や脱気筒のある複雑な形状でもリムスプレーなら素早く施工することができます。
ドーム状に密閉された空間の中で、防塵マスク・防護服を着用し、ホースを背負いながらの大変な作業。
駐車場の端から端を何往復もしてスプレーでウレタン材を吹き付けていきます。
これだけ広い施工範囲も、
わずか2時間程で施工することができました。
④リムスプレー 2層目
1層目の施工が終わり、続けて2層目の施工に入ります。
AGCポリマー建材の『リムスプレー』は、数ある超速硬化ウレタン吹付システムの中でも、特に乾燥時間が早く、今回使用したV-3000ウレタン材は、わずか15秒で指で触れることができ、4分で硬化します。
この乾燥の速さがあるため、1層目の施工後、すぐに2層目の作業に移ることが可能です。
2層目からは、ウレタン材と一緒に骨材を撒きながら吹付を行います。
今回使用するAD骨材
吹付用のガンに骨材を入れて
ウレタン材と一緒に吹き付けていきます。
2人のタイミングを合わせながら作業を進めます。
2層目は、骨材とリムスプレーを同時に吹き付けた後、骨材がウレタンに接着するようにもう一度ウレタン材のみを薄く上から塗布していきます。
ウレタン材を吹き付ける人、骨材を吹き付ける人、ホースを移動させる人、3人が連携をとりながら作業を進めます。
2層目の作業開始から1時間半ほど。
すべての作業が完了しました。
⑤清掃
リムスプレーの作業が終わったら、トップコートを塗る前に養生シートを全て撤去していきます。
養生シート撤去後、ブロワーを使って砂ほこりや余分な骨材を取り除きます。
⑥トップコート
清掃後、仕上げのトップコートを塗布していきます。
今回使用するトップコート(主剤・硬化剤)「CRトップ」
材料を攪拌したら、平場へ材料を流します。
かっぱぎを使って素早くトップコートを塗り広げていきます。
トップコートはさらさらの液状。
2人で施工し30分程度で平場を塗り終えることができました。
トップコートの塗布が完了。
本日の施工はこれにて終了!
これから防水工事を検討しているという方で、
・施工範囲が広い
・なるべく短期間で工事を行いたい
・駐車場や人通りが多い箇所でのなど高い強度が求められるロケーション
・施工箇所の形状が複雑
といった場合には「超速硬化ウレタン吹付システム」を検討してみてはいかがでしょうか。
以上、今回は防水工事の超速硬化ウレタン吹付システム リムスプレーの様子をお届けしました📒
この内容が少しでも皆様のお役に立てれば幸いです🙇♀️
ダイジェスト動画も作ってみましたのでぜひご覧ください😀✨📹
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