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マンション総会の決議要件が変わる!?区分所有法制の見直しが検討

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マンション総会の議決要件が変わる!?区分所有法制の見直しが検討





増加する高経年マンションの管理の円滑化や建て替え再生の円滑化を図ることを目的に、区分所有法制の見直しが検討されています。

区分所有法はマンション大規模修繕の総会決議の成立要件にも関わる重要な法律。

今回は、マンション管理の仕組みや区分所有法と大規模修繕工事の総会決議要件について、取り上げて行きたいと思います。



マンション管理の仕組みと法律

マンションのように、一棟の建物に複数の所有者が存在する建物を「区分所有建物」と呼び、その区分所有建物の専有部分を有する者のことを「区分所有者」と呼びます。


戸建ての場合と違いを比較してみましょう。

戸建て住宅では、一つの家屋に対し所有者が1人のため、建物は全て所有者のものとなります。
建物を改築したり、建物を使用するルールも所有者が自由に決めることができます。



一方、マンションでは一棟の建物に対し、複数の区分所有者がいるため、建物内に各区分所有者が専有する専有部分と区分所有者全員または区分所有者の一部が使用する共用部分が存在することになります。

■マンション建物中に存在する専有部分と共用部分



そのため、各区分所有者が勝手に、建物の共有部分に変更を加えたり、建物の管理のルールを変えたりすることはできません。

こうした区分所有建物における所有権の対象範囲や建物の管理ルールについては『区分所有法』という法律(正式名称は「建物の区分所有等に関する法律」、区分所有法は民法の特別法)によって定められています。



マンション共有部の管理、変更等には総会決議が必要

マンション共用部分の管理や変更、規約等の変更をする場合は、区分所有者全員で構成する「管理組合」による総会決議による決議成立が必要です。

総会決議には「普通決議」と「特別決議」がある

決議には「普通決議」・「特別決議」の2種類が存在し、議題となる内容によって決議の種類が異なります。
一般的な議題内容は各過半数の賛成で成立する「普通決議」、建物の共有部分の変更など影響の大きい議題については、普通決議よりも成立要件が厳しい(各4分の3以上の多数の賛成)の「特別議決」で決議されます。



大規模修繕の工事内容で異なる「普通決議」・「特別決議」

大規模修繕工事を実施する場合にも総会決議は不可欠ですが、「普通決議」か「特別決議」かは、工事の内容が共有部の管理に該当するのか、共有部の変更に該当するのかによって変わります。
※共有部の変更とは形状又は効用の著しい変更がある場合を指します。

国土交通省 マンション標準管理規約及びマンション標準管理規約コメント 『マンション標準管理規約(単棟型)コメント』(第47条関係)にも、「基本的には各工事の具体的内容に基づく個別の判断によることとなる。」との上で、一例として以下の例が記載されています。




総会決議の成立が困難となるケースも

前の項目で、共有部の管理、変更などを行うには総会による決議が必要であることを説明しました。

しかし、近年は区分所有者の高齢化や、相続等を契機にした所有者の不明化、グローバル化による居室の非居住化など、決議の成立が困難になるケースが増えていると言われています。

なぜ、困難になるのかを現行法の議決成立要件のイメージと合わせてみていきましょう。

現在の区分所有法では、集会の決議における区分所有者を下図のように分類することができます。



上記イメージのように、現行法では、決議成立には区分所有者及び、議決権のすべてを母数とするため、A/(A+B+C+D+E)が多数決割合をしめる必要があります。しかし、欠席者や所在不明者も反対数として扱われるため、決議が通りにくくなってしまうという現状があります。


区分所有法制の見直しでどんなことが変わる?

区分所有法制の見直しでは、「区分所有建物の管理の円滑化」「区分所有建物の再生の円滑化」「被災区分所有建物の再生化の円滑化」の3つを軸に検討が行われています。

大規模修繕工事にも大きく関わる「区分所有建物の管理の円滑化」については以下のような案が検討されています。

検討案の一部
・所在等不明区分所有者を決議母数から除外する仕組み
・出席者の多数決による決議を可能とする仕組み
・共用部分の変更において多数決要件である3/4という割合を引き下げる案など



現時点では、区分所有法制の見直しの調査審議のために設立された区分所有法制部会が取りまとめた「区分所有法制の改正に関する中間試案」(令和5年6月8日)を元に、事業者や業界団体へのヒアリングが行われている状況ですが、2024年の改正を目指すとされています。

改正が行われれば、大規模修繕工事を含む、増え続ける高経年マンションの円滑な管理・再生にも大きく貢献していくことになりそうですね。




いかがでしたでしょうか。
今回は、見直しが検討されている区分所有法制に関連し、マンションの管理の仕組みや総会決議の要件についてご紹介させていただきました🙇‍♀️

この内容が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。

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〈今回のコラムを作成するにあたり参考にさせていただいたサイト・資料〉
国土交通省 マンション標準管理規約及びマンション標準管理規約コメント『標準管理規約(単棟型)及び同コメント』2023.10.4アクセス
法務省民事局『区分所有法制の見直し』2023.10.4アクセス
法務省「区分所有法制の改正に関する中間試案」(令和5年6月8日)取りまとめ『区分所有法制の改正に関する中間試案の補足説明』2023.10.4アクセス
G-GOV法令 検索建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号)2023.10.4アクセス

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